勢力紹介~ゼシュテル鉄帝国~

はじめに

 こんにちは、PBW運営チームRe:versionです。

 今回は『Pandora Party Project』の舞台情報第三弾、無骨なる黒鉄の帝国『鉄帝(ゼシュテル鉄帝国)』を紹介いたします。
 無辜なる混沌において最も個人の力の尊ばれる脳筋帝国をガイドいたしますので、どうぞ、よろしくお願いいたします!

鉄帝(ゼシュテル鉄帝国)

 無辜なる混沌の『大陸』の北部に位置するゼシュテル鉄帝国は広大な領土を誇る軍事帝国です。
 古代文明とも呼ばれる伝説の息づく大陸北部は失われた技術が未だ埋もれたまま残されているようです。
 これらの一部は軍事利用されており、『極めて先進的な古代兵器』を軸とした破壊力は歩兵の強さと共に鉄帝軍事力の両輪となっています。
 鉄帝は一説に古代技術の粋、機械生命体の末裔とされる『鉄騎種(オールドワン)』という機械種が主要な人口を占めています。
 鉄帝は国土の大半が厳しい気候にさらされる北部地域に位置しており、経済的には非常に脆弱です。
 鉄騎種は過酷な環境に適応する能力を持つと同時に、苛烈にして強靭な肉体を誇り、国民性もあって存続の大きな問題にはなっていません。
 しかしながら、経済的に栄え、国と国民の困窮を救う事は彼等の悲願であります。
 鉄帝は南部に肥沃な領土を持つ幻想地域への南下作戦を繰り返しています。近年は弱体化の著しい幻想ですが、鉄帝の場合、愚直とも言えるその性質の問題もあり、これまでのらりくらりと搦め手を得意とする幻想を攻略出来ずにいます。天義(聖教国ネメシス)や傭兵(ラサ傭兵商会連合)との紛争や介入も悩みの種です。

 鉄帝の大きな特徴は国民性が非常に(特に個人の)武力を愛好するという点にあります。
 何と鉄帝では、国家元首である皇帝位さえ個人の武力によってのみ決定されるのです。
 鉄帝の皇帝は誰よりも強くある事が求められます。現皇帝を倒した者が新皇帝を継ぐ、という分かり易すぎる程に分かり易いルールの基に継承が繰り返されていますが、国内は非常に安定しており、このルールを含めた様々な国家性について批判は殆どありません。
 現皇帝ヴェルス・ヴェルグ・ヴェンゲルズは現時点において通算百二十四回の挑戦者を退け、この内の何れも殺害及び処分していません。
 鉄帝国民の最大娯楽は大闘技場ラド・バウにおける死闘の観戦です。
 闘技場は複数のランクに分けられて開催されており、その上位に上り詰める事は非常な栄誉をもって讃えられる事です。現チャンプのガイウス・ガジェルドはスーパーチャンプ的位置に置かれていますが、これは『試合中の事故』により多くの不幸な結末が起きた事に起因します。
 鉄帝国民の関心事は、果たしてザーバとヴェルスとガイウスが対戦した時、誰が一番強いのかという点です。
 しかし、ザーバとガイウスは皇位に全く興味が無く、これまでに『夢のカード』は実現していません。
 

※鉄騎種(オールドワン)

 身体の一部ないしは全体が金属、機械化した人型の種族タイプ。
 外見通り非常に頑健で精強。外見問わず交配により増える完全な生命体です。
 フィジカル、メンタル両面の能力に優れている反面、テクニック、キャパシティは少し劣ります。
 種族特徴として『鉄騎』『過酷耐性』スキルを初期から必ず保有しており、比較的前衛的なメイキングがしやすくなっています。

鉄帝の人物

 この項目では鉄帝の重要人物の紹介を行います。
 イレギュラーズとの関わりやスタンスは人物毎に異なります。
 戦争相手として関わる事も、味方をする事もあるでしょう。
 キャラクターによってはメインステージになるかも知れません。
 何れにせよ鉄帝の人物達も曲者揃いなのは同じです。

1、『麗帝』ヴェルス・ヴェルグ・ヴェンゲルズ

 鉄帝現皇帝。
 涼やかな美貌に似合わず、至極の闘争を好む豪放磊落な人物です。外見は二十代中盤程に見えますが、細やかな経歴は不明であり、本人も特に語りません。
 前帝を一騎打ちで打ち倒し、帝位を得て以降通算で百二十四回他の挑戦を退けています。この戦いにおいてヴェルスは一人も殺害せず、一人も挑戦への処罰をしていません。
 その為、非常に国民には人気があります。頭は良い方ですが、細かい事は気にしない大雑把な所もあります。
 ……というか、政務より戦いの方が向いているし、好きなのです。
 速くて強い、大凡欠点のないトータルファイターです。

2、『鉄宰相』バイル・バルオン

 人間で言う六十代程。鉄の宰相、そして軍師の役目も負っています。
 彼もまた優秀な戦士の一人ですが、戦いは他に任せています。
 決して愚鈍な人物ではないのですが、軍師としての献策の多くは力押しばかりです。
 彼の作戦は大抵正面からの突撃あるのみですが、皇帝、将兵、果ては国民からの受けは総じて良く、鉄のお国柄を示しています。
 ちなみに民政や雑務の処理については鉄帝では稀有な程に気の回る人物でもあります。
 勝ちに徹する軍師が別に居れば鉄帝の戦略上良好なのですが、バイルの支持率は高く、鉄帝の場合どうせ後任も大差ないので難しい相談でしょう。

3、『塊鬼将』ザーバ・ザンザ

 人間で言う五十代程の大男。
 肉体と一体化した鎧部を黒にカラーリングする鉄の猛将。得物は巨大なハンマー、そして鉄塊。巨躯揃いの鉄軍人の中でも一際巨大なボディを誇ります。
 個人の武力においては鉄帝国民の中ではヴェルスかザーバかガイウスかと噂される程に著名です。しかし、本人は現皇帝を気に入っており、同時に政治的な野心が殆ど無い為、帝位に興味はありません。
 彼の最大の価値は個人の武力ではありません。彼の真骨頂は、バイルによる『正面突撃』なる献策をそれなりに有効に機能させてしまう程の絶大な指揮統率能力の高さであり、特筆すべきは彼によって率いられた部隊は潰走した経験が皆無であるという点なのです。
 彼が居なかったら鉄帝も『基本何時でも正面突撃』の拙さに気付いているかも知れません。

4、『絶対王者』ガイウス・ガジェルド

 顔に大きな傷がある壮年の男。大闘技場ラド・バウのチャンプです。
 常に群雄割拠状態であったラド・バウに新たな規律を与えたと言われる絶対王者。
 彼が君臨してからの凡そ八年はチャンプの陥落が起きてはおらず、民衆は彼を畏敬し、圧倒的に支持しながらも『彼を倒す新たな英雄』の誕生を待ち望んでいます。その圧倒的な強さから現在の通常クラス戦には参加していません。最上位クラスであるS級戦は『彼(チャンプ)への挑戦権を掛けたクラス戦』となっています。
 尚、このルールに変更されたのはガイウス戦を経た闘士が何人も死亡・再起不能となった事に起因します。
 彼自身は決して卑劣でも残虐でも無い立派なチャンプなのですが、如何せん相手が悪すぎたのです。

5、『Sクラスの最も華麗で美しく残酷な番人』ビッツ・ビネガー

 鉄戦士にしては細身ですがあくまで相対的なお話です。大闘技場ラド・バウのS級闘士。オカマ。一人称はアタシです。
 非常なトリック・ファイターで華麗に戦う事を信条としていますが、彼の『華麗』とは一方的に相手を弄る事であり、鉄戦士には珍しく暗器等も利用した奇襲戦法を好む為、人気は余りありません。
 性格もその戦い方をなぞるかのように残酷であり、やはり鉄戦士には珍しく自分より強い相手と戦う事は好まないようです。
 その為、S級戦を勝ち抜ける機会があっても不戦敗等を行う事でチャンプ戦に挑む事はしていません。
 自称『Sクラスの最も華麗で美しく残酷な番人』。美男子好きで、戦っていない時は案外気の置けない姐さんだったりもするようです。

6、『ヒートアリーナ』パルス・パッション

 大闘技場ラド・バウのA級闘士。蝶のように舞い、蜂のように刺す細剣使いです。
 鉄闘士としては稀有な女性ファイターであり、全闘士トップクラスとも言える程に非常に人気があります。
 天才肌の若手であり、まさに新進気鋭。ビッツと比してこちらは正しい意味で『華麗』であり、天賦の勘の良さから来る異常な回避能力で活躍しています。
 鉄騎種の多い鉄帝ですが、大人気の闘士が獣種である辺り、彼等の気質が良く知れます。

鉄帝の仕事

 鉄帝の仕事(シナリオ・ソース)の一部をご紹介します。
 例えばこんな感じのクエストが有り得るんだな、位のご参考になれば幸いです。

・大闘技場ラド・バウで闘士をする
・ヴェルスに依頼されて城を抜け出す(サボる)手伝いをする
・バイルに依頼されて鉄帝領の発掘事業に参加する
・バイルに依頼されて領内の怪物退治をする
・ザーバに依頼されて盗賊の討伐をする
・ザーバに依頼されて戦争傭兵をする
・ガイウスに挑戦し、ラド・バウに新たな時代を打ち立てる(※目標)
・ビッツに依頼されて美容にいいオイル(機械なので……)を調達する
・パルスと一緒にライヴしてみる

テストシーン

 南下作戦を第何次、と数える事はとうの昔に辞めていた。
 国境際の細かな小競り合いも含めれば数えるだけ馬鹿馬鹿しい日常茶飯事である。
 幻想と鉄帝は実に何十年も仲良くとこの終わらない闘争に身を浸している。時折、聖教国や傭兵連合の横槍も入るがそれも精々ご愛嬌といった所だ。
「さて、軍師殿は何と言ってきているか」
「吶喊し、粉砕すべしと」
 塊鬼将の異名を持つ鉄帝最高の名将――ザーバ・ザンザは短く応えた副官に「ふーむ」と軽い相槌を返した。
 蓄えた顎髭を撫でる彼の双眸は遠く彼方に布陣した幻想側の防御態勢を値踏みしている。一目の見立てで伝わってくるのは厳格な規律とある種の殺気である。戦争の現場で殺気の有無を考えるのは本来ナンセンスなのかも知れないが、南下作戦が悲願である鉄帝は兎も角、幻想側のその気が時々で違うのはままある事であった。
「ありゃあ『暗殺令嬢』か。今回は中々骨だのう」
 鉄帝と国境を接する幻想北部地域はかの国きっての武闘派の勢力圏である。基本的に幻想は弱兵が多いが、かの令嬢の旗下は別である。もっとも鉄帝の南下作戦への対応は持ち回り制であり、毎回彼女が出張る訳では無いのだが。
 ……やり合った時にアサシンが飛んでくるのは常である。
 鉄帝の宰相であり、軍師であるバイル・バルオンのオーダーは大抵の場合一言で済むものだ。混沌世界に覇を唱えんとす鉄騎種の強さを見せてやれ、と言わんばかりの素直さである。その作戦立案能力はひとかど以上の軍人であるザーバにとっては非効率極まり無いものと言わざるを得ないが、同時にどうしようもなく好ましいものである。
 ここ暫くは安定している鉄帝だが、皇帝位は元々変更が多いのだ。そうなるとよくよく考えれば南下作戦は民政家でもある宰相バイルの悲願であるという方が正しいのかも知れない。
「爺さんの顔を立ててやらんとな」と呟く彼は、実はそういう闘争が満更でも無い。
 実用と浪漫は並び立たないが、浪漫を実用足らしめるのがザーバという男の取り分け重要な価値である。
「さて、しかしどうしたものか。
 こりゃあ、今夜にでも激突しそうな塩梅だわな」
 ……幸か不幸か、相手にやる気が一杯なのは確かである。
 ザーバの見立てでは展開は早く、激しい。機先を制するか、受けるか。第何次か数えるのを辞めた今回の闘争は、何時もよりはもう少し派手な展開を見せる事であろう。
(しかし、指揮では暴れ足りんのう)
 こうして事が始まれば、幾ばくかの期間拘束されるのは否めず、将たる自身は戦争は出来ても、単純な戦闘は中々難しい。
 仕事は仕事だが、大闘技場ラド・バウの闘士が羨ましくもある。
 ガイウス、ビッツ、パルス……いっそ試合に出てやろうかと思った事もあったが、バイルがとても嫌がったのが面倒だった。

 ――この国、いやこの世界に、貴方以上の戦争屋が居るものか。

 ザーバ本人としてはそこまで自惚れる心算は無い。西の砂漠には『赤い狂犬』が居るし、絶望の青の伝説(ドレイク)も気にかかる。
 第一、戦争は元来貴族の子弟の仕事(ノブレス・オブリージュ)だ。

 ――いやいや、謙遜するなよ。皇帝陛下の言だぜ。信じろ、な?

 ついこの間通算百二十四回目の勝利を飾ったらしいヴェルス皇帝陛下も、全く狡い人間だ。脳裏で軽い笑みを浮かべる麗帝は全く憎たらしく、どうしようもない程に好ましい。
 その内、個人的にやり合ってみたくなる程度には。
 名誉欲は今更無いが、特にガイウスとヴェルスの腕の程は無事引退したら試してみたいのが本音である。
「よし、決めた」
 しがない現場は上の作戦を実行するのが仕事である。
 上のオーダーは吶喊し、粉砕せよ。やり方は自身に一任されている。
 という事はオーダーさえ満たせば後は自由という事だ。間違いなく。
「先頭は俺と傭兵で行くとするかの」
「……は?」
「だから、先頭は俺と傭兵で行くと言うとる。吶喊、機先は制する。
 間違い無く俺と傭兵で切り開く。蹴散らしてやる」
 所謂一つの地球近代軍事史的には有り得ない選択である。
 決まったように『蹴散らす前提』なのも異常の一言。
 今回の戦いにはローレットから腕利きの傭兵が参加している。
 敵が幻想に珍しい強兵で、轡を並べてみたい連中が居るならばザーバにとってこれはまさに好都合というものだ。
 ザーバは後ろを振り返り、実にバラエティ豊かな面々の顔を一人ずつ眺めて言った。
「正面衝突上等。折角の機会だしのう。
 相手には少々気の毒だが、精々楽しもうじゃないか。お前達――」
 

おわりに

 
 今回は何かと関わりの多いであろう『鉄帝(ゼシュテル鉄帝国)』についての情報発信でした。
 皆バトルマニアの気が強いので頭空っぽで夢詰め込みながら気持ちよく殴打が出来ると思います。
 事前情報では全ての勢力圏のご説明はしない予定ですが、まだ幾つかは発信いたします。
 是非楽しみにお待ち頂ければ幸いです!


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