勢力紹介~レガド・イルシオン~
はじめに
こんにちは、PBW運営チームRe:versionです。
今回は『Pandora Party Project』の舞台情報第二弾、イレギュラーズの最初のメインステージとなる『幻想(レガド・イルシオン)』を紹介いたします。
無辜なる混沌において最も悪徳と不安定の蔓延る幻想の国をガイドいたしますので、どうぞ、よろしくお願いいたします!
幻想(レガド・イルシオン)
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ギルド『ローレット』が本拠を構える幻想(レガド・イルシオン)という国は無辜なる混沌でも最も長い伝統を誇る大国です。
元々は伝説的勇者が打ち立てた国と言われており、勇者が生涯をかけて踏破を目指したという『果ての迷宮』は数百年以上の時間を経た今も、未だ踏破されていません。果ての迷宮は王都『メフ・メフィート』中心部に存在する為、彼はこの迷宮を踏破する為に国を建てたとも言われています。
幻想は、肥沃な平原部を主要な領土とし、海洋(ネオ・フロンティア海洋王国)とも隣接する幻想は物流の要衝でもあり、古くから経済的に栄えていました。
神と呼ぶべき大いなる意思への信仰心が強く、超常的力への畏怖と憧憬の強い幻想は魔術技術的な素養が強く、そちらの方面でも発展を遂げています。
しかし、昨今は幻想を大国、強国であると言い続けるにはどうやら難しい情勢を迎えているようです。
建国からの伝統と誇り、勇者と呼ばれた建国王の理念を受け継いでいた筈の幻想は、長過ぎる時間の経過により、澱み、腐敗し切っています。
元々封建制的な王侯貴族による統治が為されていた国ですが、様々な国難や時勢の変化により、王家の力は削がれ、門閥貴族達の台頭を許す結果となりました。
近年の幻想貴族達の大半は領民の人権や生活を一顧だにしない非常に選民的な思想に染まっており、国の統治状態は悪化の一途を辿ってきました。
それでも辛うじて幻想はかつての強国の面影を残し続けてはいたのですが、六年程前、先代国王のフォルデルマン二世が崩御したのを切っ掛けに事態は最悪のステージへと進んでいます。
若干十五歳で王位を継いだ今代フォルデルマン三世は覇気に乏しく、享楽的で、政治への興味が全くありませんでした。父王がギリギリの所で抑えつけていた大貴族連合はこれを幸いに国を完全に私物化しています。現在の幻想は三つの主要貴族勢力が睨み合う形で危険な駆け引きを続けています。
彼等は民政に興味は無く、基本的に『己の願望を叶えるため』以外には動きません。又、その為に簡単に他者を犠牲にします。
近年は弱体化の影響により、北方のゼシュテル鉄帝国から侵攻を受けたり、東方の聖教国ネメシスと小競り合いをしたりしています。
そういう時だけ一致団結して既得権益を守ろうとし、かつ私欲の為ならば能力を発揮するのが幻想貴族の性質の悪い所です。
貴族達は相変わらず信仰と果ての迷宮を踏破するという建国以来の悲願には熱心です。
もっとも、前者は要約すれば『俺は神に認められた貴族だから何をしてもいい。そして、俺と俺の権力を認めた神は侵さざるべき存在で尊くあるべき』。後者は『建国王の悲願を俺が果たし、至上の名誉を得たい』という非常に自分本位な理由なのですが。
幻想は人種の坩堝ですが、人間種(カオスシード)が支配層に多いです。
※人間種(カオスシード)
無辜なる混沌に最も多い一般的な人型種族タイプです。
人間と同等レベル、或いはそれ以上の知能を持ち、高い社会性を発揮します。
基本的に何事においても平均的な能力を持ち、最も器用に多方面に対する対応力を持ちますが、何かの能力に特化している事は無い為、ややパンチ力に欠ける側面もあります。
種族特徴としてメイキングの縛りが緩く、様々な能力が設定しやすい特徴があります。
大器晩成型ですが、種族系スキルを持ち合わせない為、一概に有利という訳ではありません。
幻想の人物
この項目では幻想の重要人物の紹介を行います。
様々なトラブルや様々な依頼を持ち込む彼等は、イレギュラーズにとって縁深い人物となるかも知れません。
イレギュラーズとの関わりやスタンスはそれぞれの人物毎に異なります。
貴方は誰かの味方をしてもいいし、しなくてもいい。
汝為したいように為した結果、人物の思考が変わったり、状況が良くなったり悪くなったり、政争に決着がついたり泥沼になったりするかも知れません。
パワーバランスを変え得るのは、プレイヤーキャラクターの関与なのです。
1、『放蕩王』フォルデルマン三世
幻想の当代国王。年齢は二十一歳。
世襲で若くして国王位を継ぎましたが、本人には覇気も国政への興味もありません。
非常に享楽的で好奇心旺盛。楽しい事しかしたくない、嫌な事は聞こえない、亡国級の暗君です。
優男で人当たりは比較的良く、幻想の支配階級の平均値に比べれば他人への優しさも持ち合わせています。
悪人ではないですが、生まれが悪かった典型的な人。
彼自身にその気は現状まったくありませんが、血統重視の幻想においては実はそれなりの力を持っています。
故に危険な駆け引きを続ける貴族達の危ういバランスの上に君臨出来ています。一応は。
2、『黄金双竜』レイガルテ・フォン・フィッツバルディ
幻想元老院(貴族院)議長。貴族のみで構成される幻想の意思決定機関の長。
双頭の竜を家紋とする大貴族で、最大派閥フィッツバルディ派を率いる大公爵です。
年齢は六十過ぎ。くすんだブロンドに碧眼。顔色が悪い痩せぎすの小男ですが、眼光は異常な程に鋭く、何処と無く猛禽類を思わせます。
議員資格を持つ門閥貴族達の多くを子飼いにする事で元老院を掌握し、王政である幻想を影から牛耳っています。
基本的に私利を重視するタイプであり、民政家ではありません。その私兵団は国軍にも匹敵し、幻想最強の騎士との呼び名も高いザーズウォルカ・バルトルトを召し抱えています。(政敵であるリーゼロッテとの関係もあり)身辺の警護には特に力を入れており、有能な人物を好みます。
酷薄な性格ですが、目をかけた者には特別な対応をする事もあります。大層なお金持ちでもあります。
3、『暗殺令嬢』リーゼロッテ・アーベントロート
幻想の裏仕事を請け負う、第十三騎士団――通称『薔薇十字機関』の頭目です。
ローゼンクロイツを家紋とする大貴族(の令嬢)で、幻想の重鎮、アーベントロート侯の名代。アーベントロート派の事実上のトップです。
銀髪赤目。黒衣のゴシックを好み、外見年齢は十代半ばから後半にしか見えない小柄な美少女ですが、その異名の通りまず本人が魔術を駆使する最高級のアサシンです。
父であるアーベントロート侯はもう何年も表舞台に姿を現しておらず、「暗殺令嬢に密かに殺されてしまったのだ」とも噂されています。
その辺りもあって、公権力ではフィッツバルディ派の後塵を拝していますが、派閥武力は幻想随一の武闘派です。
性格は享楽的で嗜虐的。綺麗な薔薇には棘がある、を地でいく女性です。
実は案外情が深い所はあるのですが、彼女の特別な感情は大抵の場合、『好きな相手は苛めたがる』という悪癖に発揮される為、注意が必要です。
4、『遊楽伯爵』ガブリエル・ロウ・バルツァーレク
幻想の芸術家を保護し、商人ギルドに影響力を持っている文化人です。
しなやかな金色の雌鹿を家紋とする大貴族で、幻想の穏健派貴族から支持を受けていますが、勢力としては比較的脆弱です。
緑の髪に青眼。背はそれなりの高さ。鍛えてはいませんが、スタイルが良く美形の彼は貴公子として通っており、ファンも居ます。
幻想の貴族(及びその派閥)として、バルツァーレク伯爵は例外的に民政に熱心であり、彼及び派閥は国民からも人気があります。
しかし、彼は穏やかで理性的な性格の良識人ですが、争いを得意としません。幻想における貴族派の横暴をよく思ってはいませんが、同時に他派との力の差を良く理解している為、現状において彼等に実力で対抗しようとは考えていません。
出来る範囲で他人の為になる事はしようとしますが、出来ない範囲に関してはお手上げです。
趣味は食事。非常なグルメで、美食が絡むと人が変わる事があります。
5、『花の騎士』シャルロッテ・ド・ロレーヌ
花の装飾をあしらった女性的な風貌が特徴の国王親衛隊の親衛隊長。
代々優秀な騎士を排出して来た家の当代であり、女性だてらにかなりの腕前を誇ります。
年齢は二十三歳。フォルデルマン三世の放蕩ぶりに困り果てていますが、忠誠心は厚く、如何なる場合も彼を守る心算でいます。
非常に良識的な人物であり、幻想指折りの『まとも』な人物です。
6、『幻想大司教』イレーヌ・アルエ
幻想王都メフ・メフィートの中心部に位置する中央大教会の主で妙齢の美女です。
その立場からざんげの住む空中庭園とコンタクトを取る事も出来るようです。
誠実で寛容、意志も強い、とても善良な人物で、幻想の現状を良しとしません。彼女が束ねる教会勢力は過酷な状況にある幻想の民衆を物心両面から支える救いとも言え、当然ながら時に有力貴族達の意向に沿わない行動も取っていますが、幻想は比較的『神』に忠実な勢力である為、一定の敬意と配慮を持たれています。
彼女はそういった自身の立場を最大限に活かして民衆の窮状を救わんと総ゆる手段を以って暗躍しています。
聖職者ながら清濁併せ呑み、理想論に縛られないリアリストでもあるのです。
7、『黄金守護竜』ザーズウォルカ・バルトルト
代々フィッツバルディ家に仕える優秀な騎士を輩出してきた家柄に生まれ、幻想最強の騎士と称されます。
二メートル近い巨躯で、得物はハルバード。フルフェイスの兜と黄金色の鎧に身を包んでいます。
非常な権威主義者であり、融通が利きません。先祖代々仕えるフィッツバルディ家並びにレイガルテへの忠誠心は忠誠を通り越して宗教的。
幻想の仕事
幻想の仕事(シナリオ・ソース)の一部をご紹介します。
例えばこんな感じのクエストが有り得るんだな、位のご参考になれば幸いです。
・貴族に依頼され、果ての迷宮を探索する
・貴族に依頼され、武装蜂起した民衆を鎮圧する
・フォルデルマンに依頼され、珍しい壺を探してくる
・レイガルテに依頼され、外国に密書を届ける
・リーゼロッテに依頼され、要人を暗殺する
・ガブリエルに依頼され、モンスター被害を受ける民衆を救う
・ガブリエルに依頼され、グルメコンテストを開催する
・シャルロッテに依頼され、フォルデルマンの更生を頑張る
・ザーズウォルカに依頼され、レイガルテの警護をサポートする
・イレーヌに依頼され、悪代官をやっつける
・イレーヌに依頼され、流行病に利く薬草等を調達する
テストシーン
広いホール。大理石の艶めく床に流麗なるステップがリズムを刻む。
頭上から吊り下がったシャンデリアは無数の輝きを跳ね返す黄金の冠か。
その部屋は、まるで無遠慮に無秩序に贅と財をぶちまけたように――ある種露悪的な程に煌びやかの一言だった。
大国幻想(レガド・イルシオン)の王宮舞踏会――最も華美にして最も壮麗なるこのイベントは、王宮の外で暮らしに苦しむ人々の存在を加味すれば『ある種』ではなく『完全な』悪趣味の産物だと言えるだろう。
国政が、人々の安寧が酷い傾きを見せて既に何年にもなる。かつて隆盛を誇った幻想も、ここ暫くは北方のゼシュテル鉄帝国、東方の聖教国ネメシスから圧力を受ける事もしばしばである。先王フォルデルマン二世が崩御し、フォルデルマン三世現王が即位してより此方は、貴族派の専横は酷くなる一方だったからだ。
「やあ、楽しんでいるかい? ガブちゃん!」
……しかし、加速的に状況を悪化させている幻想の政情にもこの放蕩王は頓着していない。
国王という立場に関わらず、こうして享楽的な舞踏会を開いては『この世の春』を謳歌している。
「陛下は、美と享楽を愛される。粋と申しましょうか、何と申しましょうか」
「そうだろう、そうだろ! こういった時間は私の無聊を慰める。ならば、これは正しい時間というものだろう!?」
「……ははははは!」
フォルデルマン三世の言葉をガブリエル・ロウ・バルツァーレク伯爵は些かわざとらしい笑い声で受け流した。
ガブリエルがちらりと視線を下げた先、王の傍らには花の騎士――華麗なる親衛隊長シャルロッテが頭痛を噛み潰すような顔をしていた。
(お気持ちは察します。シャルロッテ殿)
(お察し、痛み入ります。バルツァーレク伯爵)
果たして、一瞬のアイコンタクトは毎度の惨状を物語っている。
良識派貴族のガブリエルは絢爛豪華な舞踏会の一方で、市民生活がそれだけ困窮しているかを知っている。幾度期待を裏切られたとて「あわよくば」王を諌めるチャンスもあろうかとこうして舞踏会に顔を出すのだが、満足気な主の様子を見る限りではそれも難しそうに思われた。そして、悩めるガブリエルの苦悩をいよいよ強くするのは若き王の放蕩だけでは無かった。
「お招き頂き光栄ですわ、陛下」
「……陛下におかれましては、本日もご機嫌麗しく」
競い合うようにフォルデルマンを目指した二つの声は一人の美しい少女と、一人の厳しい老人の発したものだ。この二人こそ、幻想の北方に領土と勢力圏を持つ『武闘派』アーベントロート侯爵家の名代リーゼロッテと、幻想東方に大きな力を持つ『最大派閥』フィッツバルディ派の領袖、レイガルテ・フォン・フィッツバルディその人である。
「おお、リズにフィッツバルディ公か。楽しんでくれているかい!」
「お二方揃ってとは珍しい」
フォルデルマンは屈託なく二人を歓待し、ガブリエルは言葉の端に僅かな皮肉を滲ませた。
現在の幻想はこの二人にガブリエルを加えた三貴族派の睨み合いが続いている状態である。政情の混乱はアーベントロート派とフィッツバルディ派の暗闘の産物だ。悲しいかな、穏健派にして良識派たるバルツァーレク派は他二派に比してその力は小さく、彼等の熾烈な政治闘争、権力闘争を牽制するには至っていない。辛うじて彼等の犠牲にならんとする誰かを可能な限りで救う程度の事しか出来ないのが現状なのだ。
「楽しんでおりますとも、陛下。まぁ、晴れの場には些か相応しくない人物もおるようですが」
「まぁ、確かにお体の悪い――踊れない方は舞踏会には相応しくありませんわよね。うふふふふ!」
些細なやり取りにシャルロッテの顔色が一層悪くなっている。
レイガルテの言葉はこの国の暗部を統括するリーゼロッテへの揶揄で、リーゼロッテの言葉はレイガルテの健康状態への揶揄である。
「卿の言葉は主への不敬であるか」
「あら、私は一般論を述べたに過ぎませんけれど?」
レイガルテに付き従う黄金騎士(ザーズウォルカ)が静かに気色ばみ、リーゼロッテは涼やかな挑発でコレを受け流す。
「何だ、何だ。楽しそうじゃないか、諸君。私も混ぜたまえよ、ハッハッハ!」
「……陛下におかれましては、少しお黙りになっていて頂けませんでしょうか!」
思わず声を上げたシャルロッテを責められようか。
全身に花火をくくりつけて火薬庫へダイブする事を社交と言うならば、それはその通りなのかも知れないが――
(……イレーヌ殿も心を痛める訳だ)
末期的病巣に取り憑かれたこの国を誰が変え得るというのだろうか――
信仰さえ暴挙の理由付けにするこの国の中心で彼女は一人戦う女傑だ。
聖職者にありながら、聖職のみに留まり続ける事を赦さない。
まず自分に正しく、自分に厳しい彼女は悪徳の都(メフ・メフィート)に似つかわしくない光である。
――何時か必ず間違いは正されます。この世界に確かな『意思』がある限り――
彼女の言葉を思い出したガブリエルは、まさに天に祈る気持ちで険悪な応酬を続ける危険なゲームを眺めていた。
おわりに
今回は最初のメインステージとなる『幻想(レガド・イルシオン)』についての情報発信でした。
政争、暗闘からアドベンチャーまで『ファンタジーでのクエスト』を重視した造りとなっていますが、外国との関わりもありますので問題は国内では完結しません。
様々なシナリオソースが展開される事と思いますので、楽しみにお待ち頂ければ幸いです!
次回更新はアンケート結果を受けまして、キャラクター周りについての情報とゼシュテル鉄帝国の紹介、QA04辺りを予定しています。
開発状況等によって順序が前後する可能性はございますが、是非ご期待下さい!